「380万だけど、200万でどう? 卸値は208万だけどね」

人は、自分の生きてきた価値観の中でしか、物事を考えることはできないのでしょうが、この2枚目の売りつけは、私にとっては、想像すらできなかった展開でした。
衝撃が走りました。
同時に、以前事情通の方から教えていただいた言葉が、頭に甦りました。
「売った後でも騙された事に気付かず、まだ惚れている相手には、何度でも売る。1枚買ったからといって安心してはいけない」

冷静を保とうと、必死に自分自身を抑えていた私に、彼は2枚目の売りつけ理由を、こう説明し始めました。
「明日までにトルコに200万送金しないと、刑務所に収監される」

旅行中に聞いた、例の、同乗者を死亡させたという交通事故の話の続きでした。
[1000万の賠償金を、相手の親に払い続けている]
幼少時の苦労話(7〜8才から働いていた)といい、負債を負っている話といい、再び私の同情を引いて、多額の金銭を引き出そうとするユoo。
の心根に、人間として信じ難いという思いと、正体を見たとの思いに、胸が締め付けられました。

「なぜ家族や友人に貸してもらわないの? ウoooに頼めないの?」と聞く私に、「お金の無心は家族や友人にはできない。このままではトルコに帰れない」とユoo

今回の売りつけへの伏線としても張っていた「交通事故話」の用意周到さ、そして1ケ月も経たない期間に400万もだまし取ろうとした、冷徹なまでの悪道ぶり。
将来の証としての1枚目の絨毯は、単なる序章にしか過ぎず、2枚目、3枚目へと、線路はすでにトルコで引かれていたのだ。長いスパンで徹底的にむしり取ろうとする策略が、今まさに始まろうとしていた事実に、慄然ともいうべき思い以外、ありませんでした。
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アヤソフィア博物館

人として、心から信じたを真情を逆手に取られ、騙された衝撃は、大きかった。
精一杯見開かれた目に、哀願を込めて訴える、ユoo
彼にとって、私は単なる「金づる」にしか過ぎなかった。

これまでの人生において、裏切られた経験のなかった私に、始めてともいうべき感情がわき上がってきました。

許すことはできない。