5日目午後
夕方、仕事の終わったユooに「クルーズに行こう」と誘われました。
ボスポラス海峡の大橋あたりまでの往復でしたが、「小さな船」での航行なので、波が高いと激しく揺れ、私は必死にしがみつく有様でしたが、ユooは帆先で電話したり、船頭がコーヒ−を入れているあいだ舵を取ったりとリラックスしていました。
「僕の方が上手でしょう。揺れないよ」
聞けば去年までヨットを所有していたそうで、確かに、船頭の操縦より船の揺れは収まった感じでした。
「来年は、絶対ヨットを買うよ」と言いながら、帰りはユooがほとんど操縦していました。

bogazyolculugu-1

私は6日間のイスタンブール滞在中、毎日Z---に出入りしたのですが、その間一度も他の客と遭遇しませんでした。考えてみれば不自然な話で、背後に何らかの意思があったであろう事は想像に難くありません。
「客同士の鉢合わせ」をさせない理由は何か?
客どころか従業員とも6日間の間中、同じメンバー(ウooo、ユoo、高校生ファooと、1階にいた中年親父)でまわっており、一度、3階で「違う顔」を見た事はあるものの、どういうわけか、その男は決して私を見ようとせず、不自然に顔をそらせたままでした。
コメントを下さった方々も、みなさん1〜3人の決まった人間としか接触しておらず、それぞれの組み合わせのまま、決して「他との組み合わせ」とは重ならない様に管理されていた様です。
客同士を会わせなかったり、担当の客引きが「ナイト」の仮面をかぶって張り付いたりする目的は、当然ながら「客同士の情報共有、交換の阻止」「外部からの情報遮断」という事でしょうが、もうひとつ「舞台の個別化」という側面も上げられると思います。
決まったメンバーのみで演じられる「恋愛劇場、友情劇場」に他の人間が登場しては現実に戻ってしまいます。「旅先」という非日常の世界を背景とし、Z---のツワモノ役者共出演のなか、客は絨毯やキリムを購入するという役回りを演じさせられてしまうのです。

Z---という店では「あなただけ特別」と思わせる舞台が幾重にもあり、日々開演されている・・・といっても過言ではないでしょう。
結局はみな同じ売り方をされているのであり、「将来を約束する人」がたくさんいたり、「友情の証に、卸値価格で売る、誰にも見せた事のない素晴らしいキリム」が多数あったりするのです。